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フィルムの奥には

by ymorikaw

ちなみにドアカン Advent Calendar 2019の23日目です。

一度目は6日でした。車の話というかカーセンサーの宣伝を書いた気がします。初めてだったので若干暴走した気がして後悔しています。二度目は17日でした。ざっくり言うとSpotifyの宣伝だったのかもしれません。

そして今日三度目の登場です。三度目の正直なのか、それとも二度あることは三度あるなのか。

ということで今回は落ち着いて真面目なカメラの話。

撮影好きではなくてカメラ好き(重要)。特にフィルムカメラが好きです。

こういうと「あー、あれでしょ。なんかオサレっぽい感じのやつ。ロモとか云々」と言われそうですが、そっちじゃないです。僕が二十歳前後の女の子だとそれも良いかもしれませんが、悲しいかな僕は43のおっさんです。僕が二十歳前後の女の子になるには越えなければならない高い壁がいくつもあります。おそらく生きてるうちには無理です。

ということで、フィルムカメラの良さを。フィルムカメラの良さは、フィルムの制約に縛られるというところです。別にアナログの色合い(*1)が云々ではありません。

フィルムというのはパトローネからフィルムを引き出し24mm×36mm(*2)の感光面があり反対側に撮影済みフィルムを巻き上げるという仕様があるので、カメラも当然そのような設計になってしまいます。その制約の中で試行錯誤された産物を愛でるのが良いんです。撮影ではなく機械を愛でる。手段の目的化。仕事では嫌われる手段の目的化ですが、手段を目的化できるものが趣味として成り立つと思うんですよね。

ちなみに車と違って置き場所に困らないので、今回は全て所有してるカメラです。維持費がかからないものはどんどん増えて困る。ですので前回のように変な妄想癖は今回は発動しませんし暴走もしません。

安心安全の全年齢対象です。

(*1)トイカメラとか写ルンですの画質をフィルムの色合いとか云々みたいなのを見かけると正直しょんぼりします。

(*2)この辺で「あれ35mmフィルムって何が35mmなの?」と思うはず。それはフィルムの幅です。フィルム送り用の穴部分も含め35mmです。

↓35mm(リバーサルフィルムは色がそのまま写るから良いね。)

フィルムカメラ初期の傑作(と勝手に思ってる)

Contax II(Zeiss ikon)

光学機器で有名なドイツのCarl Zeissが作ったカメラメーカーZeiss ikon製。ライカと双璧をなすメーカー。

Contax IIのデビューは1936年。僕のものはシリアルナンバーからおそらく1937年製造。

今から80年以上前の設計と製造にもかかわらず、フィルム巻き上げ・シャッタースピードの設定・シャッターチャージ・シャッター動作・を向かって左のノブ1軸でこなしてるところが凄い。同時期のライカIIIが3軸なのでContax(Zeiss ikon)の変態ぶりがうかがえます。

みんなライカIIIをほめるけど、どう見てもContax IIの方が格好いいと思うんだよなフラットだし。

1936年のカメラにもかかわらずセルフタイマー・距離計内蔵ビューファインダー・バヨネットマウントが実装済み。ちなみにライカが距離系内蔵ビューファインダーとバヨネットマウントを実装するのはM3の1954年。ライカよりも18年も前に実装している点が推しポイント。

シャッタースピードもバルブ・1/2秒 ~1/1250秒まで設定できる。1/1250!!! (ちなみに手持ちの個体をシャッター修理時に測ってもらったが概ね1/1100~1200ちょいくらいだった。)  80年も前に1/1250(0.0008)秒のシャッタースピードを歯車とバネとカムで実現している。もはや涙しかない。とはいえ1/1250のシャッタースピードも実用性よりは、ライバルのライカが1/1000でありそれを上回る事を目的としてるようにも見える。技術者の意地か。

ちなみにロバート・キャパがノルマンディで使ってたカメラはContax IIです。この辺で自称オサレ系の人たちも引き込めると信じてる。キャパと一緒。これであなたもちょっとピンぼけ。さて皆さんもこの辺でContax IIが欲しくなってきた。

機能を詰め込みすぎた1軸ダイアルとレンズマウントの距離表示。レンズの絞りダイアル。きっと男の子の7割と女の子の4割くらいはこういう写真にキュンキュンくるはず。

まさに当時のカメラ技術の粋を結集したと言っても過言ではない。

これほどの技術を持ち合わせたZeiss Ikonも歴史の流れには逆らえず。

第二次大戦後はドレスデンにあった工場はソ連の支配下に置かれ、工作機械もいつの間にやらウクライナのキエフに移され、その後はウクライナでContax IIのコピー品の生産が行われることに、、、(*3)

戦後の云々が知りたい人はwikiでも見てね。

ちなみに共産国家ならではなのか、民生品に関しては国民の生活レベルが基準値を満たせば、あとは現状維持を続ける傾向があるような気がする。ただ見た目は同じでも微妙に中身は変わっていくんだよな。。。

Contax IIも例にもれずKiev IIとして延命されていきます。むしろ時がたつにつれて劣化してる。

軍事とか宇宙開発分野に関しては発展していくんだけど。(*4)

資本が変わりグダグダしてた頃もあれどカメラを製造し続けていたライカと、戦後の動乱を経て会社(Zeiss ikon)がなくなりブランド名だけが独り歩きしたコンタックス。現代における人気の差はそんなところにもあるのかなと思ってみたり。

(*3)実は全てがソ連になったわけではなく、西側は西ドイツのシュツットガルトに拠点を移し事業を継続します。ただ結局Zeiss ikonそのものは1971年に操業停止。その後contax銘のカメラは、YASHICA(京セラ)のブランドとなってしまいます。(京セラ時代のものは大文字でCONTAX)そんな京セラも21世紀にカメラの製造を中止。京セラ撤退後は一時期コシナがzeiss ikon銘でレンジファインダーを作っていました。

(*4)特にロケット技術は素晴らしいとしか言いようがない。1980年代にはすでに、宇宙ステーションとの自動ドッキング技術が確立していたのは凄いと思う。旧ソ連の宇宙開発の読み物が欲しい方はこちらを。そこそこ長いので、冬休みの暇つぶしにでもしておいてください。

ちなみに80年前のカメラとかってまともに写るの?と思われそうですが、写ります。

Contax II / Carl Zeiss Jena Biogon 35mm F2.8 T /今里筋線清水駅付近

Contax II / Carl Zeiss Jena Sonnar 50mm F2.0 / 京都御苑 拾翠亭

届かない想い

OLYMPUS L3

個人的には大好きなカメラなんですが、多分売れなかったはず。

エントリー向けの一眼レフなんて、どうせ最初についてくるセットレンズしか使わないんでしょ。みたいな発想から、じゃ最初からセットレンズの画角をカバーしたズームレンズを搭載してレンズ交換のできない一体型の一眼レフとして設計しよう。レンズもボディも専用設計にできるので良いものができるはず。という妄想から生まれたカメラだと勝手に思ってる。

レンズも35mm-180mm/4.5-5.6 のEDレンズ(15群16枚)でGN28の1/2000のシャッタースピードまで全速同調できるフラッシュを内蔵。定価は9万円とかなので他社のプラボディエントリー一眼+ズームセットと値段は変わらないのに性能はそれらより良かったはず。(GN28の1/2000まで全速同調フラッシュが凄い。当時これができたカメラはなかなかないんじゃないかな。)

ちなみに僕は学生時代に5万円台で投げ売られてたのを買った記憶がありますw

しかもレンズ一体型なのでホールドが最高によく重量バランスもいい。どう考えても良いことづくめなのに、レンズ交換のできない一眼レフってどうよ? という保守派の抵抗によりあえなく撃沈。

ジャンル分けも一眼レフではなくブリッジカメラというカテゴリに入れられる始末。当時OMシリーズを止めてしまっていたオリンパスにとっては、自社のフラッグシップだったので気合は入ってたんですが、努力が認められないのは悲しい限り。

このカメラの凄いところは性能云々もそうなんだけど、このL型スタイル(*5)。

最初のフィルムの仕様を思い出しもらいたいんですが”パトローネからフィルムを引き出し24mm×36mmの感光面があり反対側に撮影済みフィルムを巻き上げる”です。感光面はレンズ真後ろになるのですが、、、、 あれ撮影したフィルムはどこに??

と いうことで犯人は誰だ?と言うことで裏蓋を開けてみる

蓋というには若干無理のある秘密の箱がくっついています。。。。

そうこの秘密の箱の中にフィルム巻き上げスペースがある。犯人はお前か!

通常のカメラだと撮影したフィルムはそのまま横に巻き上げられていくのですが、90度折れて後ろ側に巻き上げられるという変態仕様。フィルムを傷つけずに90度曲げてジャムらずに巻き上げるとか、それなりに苦労したんだろうなと思いつつ変態設計に感服。しかも画質もいいし。それなのに不人気。

キワモノは売れないといういい例。

ちなみにLシリーズそのものは、L1~L3は気合が入ってますが、L10等の二桁機種は気合が入ってません。その後L一桁は廃盤。悟りを開いたオリンパスによって従来のL二桁モデルを昇進させてL5として発売。(L4は欠番のはず)気合の抜けた変なカメラは、ターゲット不在のまま悲しい結末を迎えます。

L二桁も気合がないだけなので、他社のエントリー一眼レフでセットレンズしか買わないんならL二桁機種でも良いと思うんですけどね。。。やるやらないよりもできるできないが重要なんですかね。(多分使わないだろうけど、あると安心という理由で追加される要件の如く。。)

(*5)ちなみにオリンパスはL型デザインを捨てきれなかったのか、デジタル一眼参入時にL型を出す。最初はレンズ一体型一眼のみでしたが、レンズ交換式のE-1もL型に。個人的には設計も良くて大好きだったんですが、、結局受け入れられず、E-3やE-5 では普通のありふれたデジタル一眼らしいデザインになってしまいます。開発中のE-7はモック段階ではL型へ回帰しようとしていたようですが、完成することなくフォーサーズマウントは撃沈。オリンパスは時々突っ走るけど持久力がないんだよな。そういえばolympus airも撃沈したな。あれはセンスあると思ってたんだけど。

OLYMPUS L-3 /35-180mm F4.5-5.6 / 中央区新川 隅田川沿

裏蓋の中の宇宙

MINOLTA TC-1

ちなみにこのカメラの凄いところは何かといえばそのサイズ。とりあえず手持ちの国民的美少女ゴクミのテレカと共演。

テレカとほぼ同じサイズ。(テレカ知ってますよね?)

フィルムカメラなのでフィルムの箱と比べる。

フィルムの箱と同じ高さでフィルムの箱よりも薄い。フィルムが入るのに。。。。

当然AF/AE/オートローディングの全自動カメラなのでCR123A(フィルムカメラでは一般的な乾電池)が入っています。このボディの中に、フィルムのパトローネ収容部、感光部、巻き上げ部が配置され、電池にフィルム巻き上げのモーター・距離計・露出計・光学ファインダー・ストロボが内蔵。本当に入っているのか? 裏蓋の中には僕の生きている世界とは違う3次元空間でも広がっているのだろうか。

もはや奇跡的なサイズ。

裏蓋の中には夢が詰まっているとかではない、宇宙の神秘が詰まっていると言ってもいい。

ちなみにレンズにロッコール銘(*6)が復活。さらに完全円形絞り。

絞りダイアルをスライドさせると円形絞りのディスクが切り替わる超絶ギミック。(この仕組み故に絞りが4段階しか設定できない。ここは賛否両論の出るところ。)

絞り値によってレンズの中の円形のサイズが切り替わっているのがわかると思います。

20世紀末に出てきた高級コンパクト(*7)の一つなので、小ささとギミックもさることながらチタンボディと工作精度の高さからくる精密感。ちゃんと作られた工業製品って良いやね。触ってるだけで満たされる。

カリカリに写る描写力の高いレンズは、ライカマウントでも別売されるほどの実力。F2.8があれば、とも思うけど、結局シャッタースピードが追い付かないので(*8)、F3.5でも良いか。

(*6)昔のミノルタのレンズについていたブランド名。名前の由来は六甲山。阪神と相性がよさそう。

途中ロッコール銘は消えてミノルタレンズと呼ばれていたはず。

(*7)京セラのCONTAX Tシリーズが有名かな。Nikonの28TI/35TI、リコーのGR、コニカヘキサー、フジのクラッセなど。その系列でデジタル以降も生き残ってるのはリコーのGRだけのはず。

(*8)コンパクトカメラはレンズシャッターの為。数百分の一くらいまでが限界のものがほとんど。一眼レフなどに採用されるフォーカルプレーンシャッターだと数千分の一 ~ 速いものだと1/10000以上のものもあったはず。

MINOLTA TC-1 / G-Rokkor 28mm f3.5/ 中央区新川 南高橋

MINOLTA TC-1 / G-Rokkor 28mm f3.5/ 江東区有明 東京ビッグサイト

生き残りをかけて。。。

フィルム

最近フィルムといえばほとんどが、写ルンですとかトイカメラ系のものしか出てこない。

アナログの味が云々。実際フィルムをちゃんとしたカメラで写すと、1500万画素程度のデジカメと同程度の画質では写るので、あの手の画質の悪さが愛おしい系のオサレ記事はツッコミたい気持ちでいっぱいなんだがとりあえず流しておく。

とはいえ、1500万画素のデジカメと同程度ならデジカメで良いんじゃない? というのも尤もな意見でして。

ただデジカメは明度しか測れないCCDセンサーの都合上、カラーで記録するには4ドット必要(ベイヤー配列)なのでそのままでカラー記録できるフィルムの方が優れているとも言えなくもない。(*9)

そこでフィルムを愛するものとして、フィルムを使い続ける理由を。

これは個人的意見ですが、デジタルのファイルフォーマットの寿命に不信感を持っていて、数十年後に現在のjpgフォーマットや各社のRAWフォーマットが見れるのか、各種メディアが読み込めるのかといった点に不安を抱く。クラウドサービスもありますが、事業者がいつまで存続してるかも不明です。リバーサルフィルムであれば手元にあれば光を当てるだけですので、数十年後もその時の技術でデジタル化できるかなと。

ですので、数十年後も見る可能性のありそうな、子供の写真などはデジタルとフィルムの冗長構成で記録を残すようにしています。

自分がいなくなってもフィルムが残ってれば写真はサルベージできそうです。

半面、撮ってすぐ使うなどの用途だと圧倒的にデジタルに分があるので、そういったものはすべてデジタルを使っています。(例えばこのブログのカメラ写真とか。)

商品は需要と共有によって成り立っているので、是非皆様もリバーサルフィルムを買い支えていただければと思いますw 

これからも平和に僕がフィルムを使える世の中が続きますように。

(*9)SIGMAのFoveonセンサーは1ドットでカラー記録ができる変態センサー。僕もSIGMAのDP1というカメラを持ってますが、画質素晴らしい。ただ、、、その他が、、風景専用機だとしてしまえば問題ない。

シグマのデジカメの中でもびしびしピントが合う

<中略>

手ブレ補正付きのレンズを使えば、ちゃんと手ブレ補正が効く

引用元:IT Media https://www.itmedia.co.jp/dc/articles/1602/26/news110.html

といったように。2016年の記事でピントが合うだけで褒められたり、手振れ補正レンズを使えば手振れ補正が効くという何言ってるんだ感。効かなかったら故障かJARO案件じゃないのか。

というくらいの愛され具合。

以下、フィルムに関する質疑応答回答例

其の一

フィルムで写した写真ってほんわかしてて温かみがあるよね。

なるほどシベリア送りだ。

写ルンですとかトイカメラは玩具です。20世紀のフィルムカメラを中古屋で買ってきましょう。デジカメと同じように写ります。

其の二

フィルムって暗いとこで写らないよね?

なるほどシベリア送りだ。

ホントそう思う。リバーサルだとISO400くらいまでしかない。ネガでもISO1600が限界だし。

最近のデジタルは、ISO3200とかでも実用域だし、途中で感度変更も出来るから良いね。

無事シベリア送り撤回。九死に一生を得る。

其の三

今どきフィルムとかありえなくない?

なるほどシベリア送りだ。

フィルムは思ってるよりよく写るので問題ありません。むしろ必要なときに最新の技術でデジタル化できるので保存用には向いています。フィルム時代の映画のBlu-rayや4Kリマスタのきれいな映像が証拠です。あれと同じです。

其の四

フィルムはそのまま見れないじゃん?

なるほどシベリア送りだ。

リバーサルフィルムを買いなされ。昭和生まれの人は小学校の頃とかスライド映写機で見たことがあるはず。

其の五

フィルムカメラ持ってません。

なるほどシベリア送りだ

とりあえず買ってみるところから始めてみましょう。レッツリバーサルフィルムライフ。

90年代のAF一眼レフであればゴミのような値段(大半の人には実際ゴミなんだと思うw)で出てきます。(CanonのEOSは1が凄い。Nikonは一桁が凄い。ミノルタαは7とか9が凄い。くらい覚えておけばOK)

コンパクト派であれば。90年代以降の高級コンパクトは、ここ数年は価格高騰中。お買い得感は低め。ちょっと前まで捨て値だったのに。そもそもミドルクラス一眼レフ画質をコンパクトカメラに詰め込んだところに魅力があったのに。今では同レベル以上の一眼レフより数倍高いのはなぁ。。。

ですので未来感でいくなら見た目重視でオリンパスのO・product(スペックは初代μあたりと同等)・機械感を楽しむなら元祖高級コンパクトのローライ35あたりがこなれてます。ローライ35はピントが目測(距離計無し)ですが、最近はiPhoneで対象までの距離が測れるので、距離計なんてなくても良いんじゃね。という気もする。慣れれば目測でも問題ないですし。

結論:質問は全てシベリア送りで対応できる。

今回はちゃんと脱線せずに乗り切れた気がします。ノルマ達成。

という事で皆さま。ちょっと早いけど

merry christmas

OLYMPUS E-1 / 14-54mm F2.8-3.5 / 東京国際フォーラム

フィルムカメラの話なのに、締めの写真はデジカメで撮影。

なるほどシベリア送りだ。

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